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リバースオークション(逆オークション)とは?——買い手が主導する「逆転の発想」で調達コストを見直す仕組み

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目次

  1. リバースオークションとは?——「競り上げ」ではなく「競り下げ」
  2. 相見積もりとリバースオークションの違い
  3. リバースオークションのメリット
  4. 導入事例に見るリバースオークションの効果
  5. リバースオークションのデメリットと注意点
  6. リバースオークションに向く調達品目・向かない調達品目
  7. よくある質問
  8. まとめ:買い手主導の「逆転の発想」で調達を見直す

1. リバースオークションとは?——「競り上げ」ではなく「競り下げ」

通常のオークションとの「逆転」の発想

私たちがよく知る通常のオークションは、売り手が商品を提供し、買い手が価格を競り上げていきます。最終的に最も高い価格を提示した買い手が落札する——これが一般的なオークションの仕組みです。

リバースオークション(逆オークション)は、その名の通りまったく逆のプロセスで進行します。

リバースオークションの流れ:

  1. 買い手(バイヤー)が調達したい商品・サービスの仕様や条件を提示する
  2. 複数の売り手(サプライヤー)がWeb上で見積もりを入札する
  3. 売り手同士が価格を競り下げていく
  4. 最も低い価格を提示した売り手が落札する

つまり、通常のオークションが「より高く買ってくれる人は?」という売り手主導の仕組みであるのに対し、リバースオークションは「より安く売ってくれる人は?」という買い手主導の仕組みだと言えます。

誤解されやすい「ダッチオークション」との違い

値段を下げていく点で「ダッチオークション」と混同されることがありますが、両者は別物です。

ダッチオークション リバースオークション
開始価格 高い価格からスタート 買い手が希望条件を提示
価格の動き 時間経過とともに一方的に下がる 売り手同士が競って下げる
参加者の役割 買い手が「買います」と意思表示するだけ 売り手が能動的に価格を入札する

2. 相見積もりとリバースオークションの違い

リバースオークションは「デジタル版の相見積もり」と思われがちですが、実務上の違いがあります。

従来の相見積もりで起きやすい課題

課題 具体例
属人的な交渉力 担当者の交渉スキルによって結果が左右されやすい
情報の非対称性 各社の見積もりが独立しており、他社の価格が見えない
時間と手間 1社ずつの連絡・条件調整・交渉に工数がかかる

リバースオークションが変える3つのポイント

  • リアルタイムの価格競争:売り手は他社の最低価格を確認しながら入札できるため、市場の水準が可視化されやすくなります。
  • 再入札が可能:入札時間内であれば何度でも再入札できる設計が一般的で、通常の1回限りの見積もりとは異なります。
  • 透明性の確保:入札履歴が記録されるため、後日の説明や監査対応がしやすくなります。

3. リバースオークションのメリット

メリット1:調達コストの見直しにつながりやすい

売り手同士がリアルタイムで競争することで、相見積もりでは引き出しにくかった価格の見直しが期待できます。実際の削減幅は品目や市場環境によって異なりますが、後述する導入事例のように、一定の効果が報告されています。

メリット2:業務負担の軽減

従来の相見積もりでは、複数の業者への個別連絡や条件調整、交渉のための日程調整などに数日から数週間の工数がかかることがあります。リバースオークションでは、仕様の公開と入札期間の設定によって、こうした工数を圧縮しやすくなります。

メリット3:公平性・透明性の確保

同じ条件・同じ時間ですべてのサプライヤーが競争するため、特定の業者に有利な条件が生まれにくく、入札履歴も記録されます。この特性は、特に公共機関や教育機関にとって重要な要素になります。

メリット4:調達プロセスの可視化

入札の履歴がデータとして蓄積されるため、過去の調達実績を分析し、次回以降の調達戦略に活用しやすくなります。

4. 導入事例に見るリバースオークションの効果

ここでは、公表されている情報をもとに、実際の導入事例を紹介します。

事例①:株式会社とみづや(電力調達)

「業務スーパー」のフランチャイジーとして大阪府下で店舗を展開する株式会社とみづやは、電力調達支援サービス「エネオク」(株式会社エナーバンク提供)を導入し、複数の小売電気事業者からの見積もりをリバースオークション方式で取得しました。

同社の発表によると、導入前は各事業者の条件を個別に確認・比較する負担が大きかったところ、導入後は「1年分の電力情報を提供するだけで最適なプランを提示され、業務負担がほぼゼロになった」うえ、市場連動プランの提案も受けられ、前年対比で20%以上の電気代削減につながる可能性があるという結果が得られたとのことです。

事例②:島根県益田市(公共施設の電力調達)

島根県益田市は、公共施設の電力コスト抑制と再生可能エネルギー由来電力の調達を目的に、2020年度から全国の地方自治体として初めてリバースオークション方式を試行導入しました。同市の発表によると、令和5年度には高圧・低圧合わせて449件の契約についてリバースオークションを実施し、年間約6,260万円のコスト抑制と初年度約4,080トンのCO₂排出削減を実現、その後も毎年度4,400トンを超えるCO₂排出削減を継続しています。コスト抑制効果は令和6年度実績で約5,660万円、令和7年度は約1億円の見込みとされています。

同市の担当者によれば、料金抑制と脱炭素の両立が庁内外の理解を得られたことで、公共施設の照明LED化や公用車の電動化といった全庁的な施策も進めやすくなったとのことです。

事例③:東京大学(公的機関の調達における透明性確保)

東京大学は、調達案件を公開して広く参加者を募り、インターネット上で価格競争(競り下げ)を行う調達方式としてリバースオークションを採用しています。参加者が一度だけ条件提示を行う通常の入札とは異なり、定められた期間内であれば他社の提示状況を確認しながら何度でも条件を提示できる点や、入札履歴がすべて記録され後日の確認が可能である点が、公的機関における透明性・公平性の確保に寄与していると考えられます。

その他の活用状況

上記以外にも、学校法人など教育機関を含む幅広い組織で、コピー用紙や複合機、警備といった間接材の調達にリバースオークションを活用する動きが見られます。ただし、削減効果や導入条件は提供事業者・調達品目によって異なるため、導入を検討する際は、自社の状況に合わせて個別に確認することをおすすめします。


5. リバースオークションのデメリットと注意点

リバースオークションは有効な手法ですが、万能ではありません。導入前に以下の点を理解しておくことが重要です。

デメリット1:サプライヤー関係への影響

価格だけが競争の基準になると、品質や納期、アフターサービスへの配慮が後回しになるリスクがあります。長期的なサプライヤー関係に影響する可能性が指摘されることもあるため、価格以外の評価基準も併せて設計することをおすすめします。

デメリット2:すべての調達品目に適しているわけではない

リバースオークションが効果を発揮しやすいのは、サプライヤーの数が多く、仕様が明確な調達品目です。サプライヤーが少数の市場や、細かい仕様・品質が重視される調達物には向かない場合があります。

デメリット3:サプライヤー側の参加コスト

売り手側にとっては、入札に参加するための時間と労力がかかります。落札できなかった場合、その労力が結果に結びつかないこともあります。

デメリット4:社内浸透のための調整

新しい調達手法の導入には、購買部門だけでなく経理・法務など関係部署との調整が必要になることがあります。

6. リバースオークションに向く調達品目・向かない調達品目

向く調達品目の特徴

特徴 具体例
サプライヤーが多数存在する オフィス用品、一般消耗品
仕様が明確で品質の差が小さい 規格品、標準化されたサービス
価格競争が生まれやすい市場 電力、通信サービス

向かない調達品目の特徴

特徴 具体例
サプライヤーが少数 特殊部品、特注品
品質・技術が価格より重要 高度な専門サービス、研究開発
長期的な関係が重要な取引 戦略的パートナーシップ

7. よくある質問

Q1. リバースオークションの削減効果は、どの品目でも同じ程度期待できますか?

A. 品目や市場環境によって効果は異なります。サプライヤーが多く競争が生まれやすい品目ほど効果が出やすい傾向がありますが、事前に自社の調達状況を踏まえて検討することをおすすめします。

Q2. 中小企業でも導入できますか?

A. 企業規模を問わず導入されている事例があります。サービス提供事業者によって対象条件が異なるため、確認することをおすすめします。

Q3. 既存の取引先との関係が悪化しませんか?

A. 価格のみで判断する設計にすると、そうしたリスクは高まります。既存の優良取引先への配慮や、品質・納期を含めた総合評価の仕組みを併せて検討することをおすすめします。

Q4. リバースオークションと一般競争入札はどう違いますか?

A. 一般競争入札は原則として1回限りの条件提示であるのに対し、リバースオークションは制限時間内であれば他社の提示状況を確認しながら何度でも条件を提示できる点が特徴です。

Q5. 公共機関で導入が進んでいる理由は何ですか?

A. 入札履歴がすべて記録され、透明性・公平性を確保しやすいことが、公共機関で評価される理由の一つとされています。

Q6. 導入にあたって、まず何から始めればよいですか?

A. まずは自社の調達品目の中で、サプライヤーが複数存在し、仕様を明確に定義できるものを洗い出すことから始めることをおすすめします。

8. まとめ:買い手主導の「逆転の発想」で調達を見直す

この記事のポイント

1. リバースオークションは「買い手が主導する逆オークション」 売り手同士が価格を競り下げ、最も低い価格を提示した売り手が落札する仕組みです。

2. 相見積もりとは実務上の違いがある リアルタイムの価格競争、再入札の可否、透明性の確保など、従来の相見積もりとは異なる特徴があります。

3. 実際の導入事例が報告されている 電力調達での活用を中心に、企業・自治体・大学など幅広い組織で導入が進んでいます。

4. 万能ではなく、品目選定が重要 サプライヤーが多数存在し、仕様が明確な品目に向いている一方、品質や長期的な関係を重視する品目には別の手法が適していることもあります。

5. 削減効果は品目・提供事業者によって異なる 導入を検討する際は、公表されている実績の根拠を確認し、自社の状況に照らして判断することが大切です。

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