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ファッションリユースを支えるBtoBオークション——アパレル業界の"見えない循環"を解説

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目次

  1. ファッション業界が抱える環境負荷の課題
  2. ファッションリユース市場、初めての1兆円突破
  3. なぜオークションが「循環型ファッション」を後押しするのか
  4. BtoCとBtoB、2つのオークションエコシステム
  5. 事例:BtoBオークションが支える業者間循環
  6. 事例:ファッションリユースの先駆者に見る実績
  7. ファッション事業者が取り組める3つのステップ
  8. よくある質問
  9. まとめ:ファッションの循環を支える"見えないインフラ"

1. ファッション業界が抱える環境負荷の課題

衣服の「大量生産・大量消費・大量廃棄」というモデルは、製造時の資源・エネルギー使用の増加や、製品ライフサイクルの短命化を通じて、環境負荷が大きいと指摘されるようになっています。日本国内でも、環境省を中心にこの課題への取り組みが進められています。

環境省が公表している2024年時点の衣類のマテリアルフロー(最新の推計データ)によると、国内の衣類新規供給量は約82万トンに対し、その約7割にあたる約56万トンが事業所・家庭から手放され、未利用のまま処理されていると推計されています。このうち家庭からは約51万トンが手放され、多くが可燃・不燃ごみとして排出されているとされています。

こうした状況を受け、環境省は「第五次循環型社会形成推進基本計画」において、繊維製品(ファッション)の資源循環を重要なテーマの一つとして位置づけています。「作る・使う・捨てる」という直線型モデルから、「作る・使う・再生する」という循環型モデルへの移行が、業界全体の課題として認識されつつあります。

2. ファッションリユース市場、初めての1兆円突破

日本のリユース市場全体は、2009年以降15年連続で拡大を続けており、業界専門紙「リユース経済新聞」の推計によると、2024年の市場規模は前年比4.5%増の3兆2,628億円に達しています。

この中でも、2024年はファッションリユース市場にとって節目の年となりました。同紙の集計によると、「ブランド品」が前年比15.7%増の4,230億円、「衣料・服飾品」が6,392億円となり、両者を合わせたファッションリユース市場は初めて1兆円を超えました。

なお、矢野経済研究所が別途実施した調査では、国内ファッションリユース(中古)市場を2024年に1兆2,800億円(前年比111.3%)と推計しており、集計方法や対象範囲の違いにより、調査機関によって数値には幅があります。いずれの調査でも、ファッションリユース市場が2桁近い成長率で拡大を続けている点は共通しています。

成長を後押ししていると考えられる要因:

要因 具体的内容
物価上昇 新品より割安なリユース品への注目が高まっている
訪日観光客の増加 過去最高水準のインバウンド需要が追い風に
サステナビリティ意識の高まり 「所有から利用へ」という価値観の広がり
フリマアプリ・オークションの普及 個人間取引のハードルが下がっている

3. なぜオークションが「循環型ファッション」を後押しするのか

理由1:価格発見——中古品に「適正価格」をつける

新品はメーカーが価格を設定しますが、中古品は状態・希少性・需要によって価値が大きく変動します。この「価格が分からない」という不確実性が、中古品取引の障壁になってきました。オークションは、実際に買おうとする人たちの入札を通じて適正価格を発見する仕組みであり、この機能がファッションリユースをビジネスとして成立させる核心的なメカニズムの一つになっています。

理由2:供給の集約とマッチング

使われなくなった衣服は、個人のタンスや店舗の倉庫に分散しています。オークションは、こうした分散した供給を一つの市場に集約し、需要のある買い手とマッチングする役割を果たします。環境省の資料でも、「C to Cリユース」の中にフリマアプリやネットオークションが位置づけられており、個人間での衣服の循環を支えるチャネルの一つとされています。

理由3:透明性——情報の非対称性を和らげる

中古品取引の障壁の一つは「実際の状態が分からない」という不安です。オークションは、入札履歴・評価・商品説明などを通じて取引の透明性を高めます。過去の落札価格が参考情報になり、出品者の評価が信頼の指標になり、写真や説明文が状態を可視化する——こうした要素が、不安を和らげる一助になります。

4. BtoCとBtoB、2つのオークションエコシステム

ファッションリユースのオークションは、BtoC(事業者対消費者)とBtoB(事業者間)の両方で機能しています。

BtoCオークション:消費者が参加する「着る循環」

Yahoo!オークションやメルカリなどのプラットフォームでは、一般消費者が直接ブランド品や古着を売買しています。プラットフォームごとに得意な商材の傾向があり、ガジェットや工具に強いYahoo!オークションと、ファッション・コスメに強いメルカリという棲み分けも見られます。

BtoBオークション:見えないところで回る「業者間循環」

一方、BtoBオークションは一般消費者の目には触れにくいものの、ファッションリユース業界を支える基幹インフラとして機能しています。新品を扱う一次流通にはなじみのない仕組みですが、計画的な仕入れが難しいリユース小売企業にとって、オークションを通じた仕入れ・換金は欠かせない機能になっています。


5. 事例:BtoBオークションが支える業者間循環

KOMEHYOオークション

株式会社コメ兵が運営するKOMEHYOオークションは、国内でも大きな規模のリユース事業者向けBtoBブランドリユースオークションの一つです。高級時計・バッグ・ジュエリーなどの中古ブランド品を扱い、リユース事業者向けに相場情報の提供なども行っています。

オークネット

オークネットのファッションリセール事業も、中古ブランド品のインターネットオークションを運営し、リユース事業者の仕入れ・換金を支えています。

これらのBtoBオークションを通じて、次のような循環が生まれています。

  1. リユース店が消費者からブランド品を買取
  2. 買い取った商品をBtoBオークションに出品
  3. 全国の他のリユース店や小売事業者が入札
  4. 適正価格で取引され、商品が次の販路へ
  5. 消費者がその店舗で商品を購入し、循環が完了する

この業者間循環があることで、消費者は各地のリユース店で質の高いリユース品にアクセスしやすくなっていると考えられます。

6. 事例:ファッションリユースの先駆者に見る実績

2003年の創業以来ファッションアイテムの買取・販売を手がける株式会社ベクトルは、複数のマーケットプレイスで評価を受けています。同社の発表によると、楽天ラクマの「ショップ・オブ・ザ・イヤー」アパレル部門で3年連続1位、メルカリの総合賞で1位、Yahoo!オークションのベストストアアワードでは通算11年連続の受賞を果たしています。

同社は自社の複数チャネル出品システムを通じて、宅配買取や店舗で仕入れたファッションリユースアイテムを、自社通販サイトだけでなく複数のマーケットプレイスでも展開しています。こうした「複数のオークション・フリマプラットフォームを併用する」という戦略は、ファッションリユース事業者にとって一つの有効なアプローチとして参考になります。

7. ファッション事業者が取り組める3つのステップ

ステップ1:自社の「循環」を可視化する

ファッションブランドやアパレル企業は、自社の製品がどのように中古市場で流通しているかを把握することから始められます。リセールバリューの動向や、消費者がどのように製品を手放しているかを知ることは、今後の商品設計や施策検討の材料になります。

ステップ2:オークションを「販路」として捉え直す

かつてリユースは「他社のビジネス」と見なされがちでしたが、市場規模が拡大する中、自社ブランドのリユース品を公式に取り扱う動きも見られるようになっています。適切に設計された公式リユース施策は、ブランド価値の維持やファンとの関係構築にもつながり得ます。

ステップ3:「循環」を事実に基づいて発信する

サステナビリティへの取り組みを発信する際は、実際に把握・検証できている情報に限定することが重要です。誇張した表現や根拠のない数値は、かえって信頼を損なうリスクがあります。

8. よくある質問

Q1. BtoBオークションとBtoCオークションは、どう使い分ければよいですか?

A. 消費者向けの小売販売にはBtoCプラットフォームが、事業者間の仕入れ・在庫調整にはBtoBオークションが適しています。事業の規模や段階に応じて併用することも一般的です。

Q2. 市場規模の数値が調査機関によって異なるのはなぜですか?

A. 集計対象の範囲(消費財のみか、法人間取引を含むかなど)や算出方法が調査機関によって異なるためです。引用する際は出典を明記することをおすすめします。

Q3. 自社ブランドの公式リユース事業を始めるには、何から検討すべきですか?

A. まずは自社製品がどの程度中古市場に流通しているか、リセールバリューの傾向を把握することから始めることをおすすめします。

Q4. 複数のマーケットプレイスに出品するメリットは何ですか?

A. プラットフォームごとに強い商材や利用者層が異なるため、複数展開することで販路を広げられる可能性があります。一方で、在庫管理や出品作業の負担も増えるため、システムでの一元管理が重要になります。

Q5. ファッションの環境負荷に関する主張をする際、注意すべき点は何ですか?

A. 「世界で2番目に環境負荷が大きい産業」といった特定の順位づけは、根拠が明確でない場合があります。発信する際は、信頼できる調査データに基づいた表現を心がけることをおすすめします。

Q6. 中小規模の事業者でも、ファッションリユースに参入できますか?

A. 可能です。まずはBtoCプラットフォームでの出品から始め、規模が拡大してきた段階でBtoBオークションの活用を検討するという進め方も考えられます。

9. まとめ:ファッションの循環を支える"見えないインフラ"

この記事のポイント

1. ファッション業界は環境負荷の観点から資源循環への取り組みが進められている 環境省の推計では、国内供給量の約7割にあたる衣類が未利用のまま手放されているとされています。

2. ファッションリユース市場は2024年に初めて1兆円規模に達した 調査機関によって数値には幅がありますが、いずれも2桁近い成長率が示されています。

3. オークションは価格発見・供給集約・透明性という3つの機能で循環を支える 中古品に適正価格をつけ、分散した供給を集約し、情報の非対称性を和らげる仕組みです。

4. BtoCとBtoB、2つのオークションエコシステムが存在する 消費者向けの販売だけでなく、事業者間の仕入れ・換金を支えるBtoBオークションが、業界の基幹インフラとして機能しています。

5. 複数のプラットフォームを併用する戦略が実績につながっている ベクトルのような事業者は、複数のマーケットプレイスでの評価を積み重ねています。

ファッションリユースの成長は、消費者向けのオークションだけでなく、その背後にあるBtoBの"見えない循環"によって支えられています。事業者としては、この両方の仕組みを理解した上で、自社に合った形で循環型ビジネスへの関わり方を検討していくことが重要だと考えられます。

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